吾 亦 紅 様 の コメント
◆◆◆ 十月の花 「鶏頭」 ◆◆◆ 
 
 九月の」半ばから、個性的な花を咲かせる「鶏頭」を、子規は好き
 だったらしく、全部で五十句、鶏頭の句を残しているようです。
 
 鶏頭の十四五本もありぬべし   
 多くの人の触れている句。よしあしはもとより、この句が
 席題の句であることを踏まえて、句の背景や子規の潜在意識を探る 
 論まで、すこぶる多い。しかし、わたくしは、端的に好きな 
 のである。鶏頭という個性的な花のいのちが、ずばりと、 
 しかも根源的に掴みとられていると感じるからである。 
 単純であることもまた、一句の力となっているようだ。
 鶏頭のありようを、この句以上に表現するのは無理であろう
 とさえ思えてくる。  
   平成13年「糸瓜」 篠崎 圭介 愛誦三句から抜粋して転載
  
 この季節は、こころを通わせる花たちが、つぎつぎと咲き
 乱れています。単に写生(一枚の絵や写真)で終わらせぬ
 よう推敲をくり返して、ご自分の納得のいく名句を詠んで
 ください。
 
互 選 句
平成 26年 9月 1日~平成 26年 9月20日 投句分
番 号 特 選 5 句 俳 号  
敬老日そうかと庭に水をやり 哲 朗
なんだか笠智衆の、映画のワンシーンを観て居るようです。

老いの道登り尽くして秋の風 石の花
ここまでやって来られたといった安堵感と、季語の
  「秋の風」によって一抹の寂しさも読んでとれます。
13 それぞれに趣味に興じて夜長かな 哲 朗  
お互いに健康で、趣味のある幸せ。至福のひと時ですね。
24 補聴器の電池を替えて月鈴子 そらまめ  
  一読景色が浮かんでくるようです。
28 心太寡黙な母の太き味 旅 風  
  近頃は、家で心太をつくる事も無いようですが、きっと作者の
  心象風景の中に深く刻まれているのでしょう。太き味とは
  母の大きな愛情にちがいありません。
 
番 号 入 選 15 句 俳 号  
窓越しに石鎚を背に月愛でる 浩 風  
入り日間近や山際に望の月 高 越  
剪定でよみがえりたる秋茄子 そらまめ  
雷鳴や我が生き様に喝一閃 旅 風  
12 お月見や手作り団子母偲ぶ 媛 香  
15 敬老日鎮守の森の集いかな 石の花  
16 枝垂れ咲き川面に揺れる萩の花 菜の花  
19 締め切りが迫り悩まし子規忌かな そらまめ  
20 土塀越し金木犀の香のかおり  
22 灯を消せば部屋に粲々月明かり 媛 香  
23 最上川下る舟唄薄紅葉 浩 風  
25 野良猫の悲哀の目秋の昼  
29 満月を惜しみつ入る赤のれん 哲 朗  
31 拳玉の柄先にすぽん敬老日 高 越  
32 晴れ渡る茜の空に金の波 菜の花  
 
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第 117 回 披 講